リーダーは演じるもの、そこから全てが動き出す|NEXYZ.Group代表取締役近藤太香巳の流儀

自分で思い描くリーダー像 「最大限に良いと思える姿を」

19歳という若さで起業し、37年の経営者人生を歩んできた、(株)NEXYZ.Group 代表取締社長役兼グループ代表の近藤太香巳氏。多くの経営者・ビジネスパーソンから圧倒的な支持を得ている近藤代表に、リーダーとしてのブランディング流儀をうかがった。

「リーダーはどれだけつらいことがあっても、最初は演じるものです。僕は19歳で創業しましたが、当時の僕にいきなりリーダーとしての能力が備わっていたわけではありません。なので、組織を率いるためには、自分自身で理想のリーダー像を描いてそれを演じるしかなかったんです。それを続けるなかで、だんだんと自分のモノになってきました。その際に、誰かから押しつけられた架空のリーダー像ではなく、自分で選択した理想の姿だからこそ身についていった面もあるでしょう。

なので、たとえ現時点でリーダーらしく振る舞えていなかったとしても、生き方もファッションも、自分が一番良く見えるように演出するのは決して嘘ではないと思います。

元々成功者なんていなくて、成長していくから成功するわけです。自分の能力内でやっていることは、チャレンジとは言えません。できないかもしれない領域に手を伸ばし、限界突破してようやく成長するんです。リーダーも背伸びをして、『自分はこんなもんじゃない!』と言える状況に身を置かないといけない。そこで掴んだものを仲間たちへ教えていくのも役割の1つです」

リーダーらしい服装については、昔話を交えて教えてくれた。

「とある超大物社長と2人で飲んでいた20代の頃のことです。その方は、とてつもないお金持ちなのに、『こんなに成功してもスーツは5~6万だぞ!』と自慢していて……その姿に、尊敬しているけれど、そうはなりたくないなと。その方は、古い慣例からそれが美学だと捉えていらっしゃったのだと思いますが、何のために成功するのか?と疑問が生じたのです。

逆に、大して儲かっていないのに、自分の見栄えやステータスのために高級車を買ってしまう人もいますよね。会社にお金を残していないので、業績が下火になったら切り返す軍資金がない。1億持っている人の高級車と、2千万ギリギリの人とでは、車は同じでも価値はまったく別ものです。
お金は会社の預り金でしかなく、ピンチの時には私財を投げ打ってお金を出さないといけません。

ですが、大成功した末の5~6万円のスーツは……リーダーとしてあまり魅力的ではないかなと思ってしまいました」

近藤代表のファッションも、代表理事を務める一般社団法人パッションリーダーズの中で、周りからの影響によって少しずつグレードアップしていった。

「とても恵まれたことに、パッションリーダーズにはアパレル系の方も加入してくれています。メンバーからの提案でオーダースーツを作ったり、時にはプレゼントしてくれたり。みんなが僕のことを、過去の僕よりおしゃれにしてくれています。

実業界一おしゃれな経営者は(株)DDグループの松村厚久さん。僕の親友なのですが、服をプレゼントしてくれた時の名言は忘れられません。

試着したらサイズがきつかったんですよ。それを指摘したら、『ファッションは苦しいものだ。ラインが一番美しく出るのが重要であって、苦しいとか苦しくないとかどうでもいいんだ!』と。

考えてみると、女性のヒールも歩きにくいし痛くもなる。ファッションは決して便利なものではないんですよね。ですが、彼に言われるまでそんなこと考えたこともなかったです(笑)」

とはいえ、講演やメディア出演時には常に意識していることがある。

「舞台に立ちライトが当たった瞬間の『ようこそ皆さん!』というファーストインプレッションで、どれだけ笑顔で、明るく、そしてすてきだなと思ってもらえるか。ネクタイも赤や青といったハッキリした色を選ぶことが多いです」

その際に大事なのは、心の在り方だ。

「社員に対して、名刺交換では相手の目を見なさい、エレベーターならお客様のほうを見て扉が閉まるまでお辞儀をしなさい、といった指導をしています。相手から好印象を抱いてもらえるような、“真心”のこもった対応をしなければいけません。なぜかというと、真心が人の心を動かすからです。

ファッションは相手からするとパッと目に入る部分であり、僕にとっての壇上でのウェルカムタイムと一緒で、最初の印象を大きく左右します。どれだけ相手に対して心を尽くしているか、という真心に通じるものがあると思います」

~中略~

かつてのビジネスシーンはスーツが鉄則だったが、時代と共に変わってきている。業種によってもスタイルはさまざまだ。それでも、近藤代表の営業スタイルは当然ながらスーツにネクタイ。足元はジョンロブなど、品質が良く長く使えるものを、きちんとメンテナンスして合わせている。商談時に相手を見定める指標には、身だしなみも含まれるようだ。

「何か提案された時には2つしか見ていません。1つ目はビジネスモデルが優れているか、当社にとってどんなメリットがあるか。2つ目は……

~中略~

命の時間を削る仲間のため 経営者は大きくあらねば

同グループの社員は士気が高く、近藤代表も仲間を大切にしていることで知られる。では、近藤代表にとってビジネスパートナーとはどういう存在なのだろうか?

「会食の席で、ある経営者が社員に対してあまりにも酷い悪口を言っている姿を見たことがあります。『うちの社員はハエみたいなものだ!』と。僕は『あなたがう〇こなんだ!』と言ってやりました。

その場の空気は悪くなってしまいましたが、仲間を大切にしない人は大嫌いです。なぜかというと、僕は何のために自分が頑張るのかが明確に決まっているからです。

一番は……

~中略~

ただ、もっと言えば、自分で自分がやっていることを格好いいと思える生き方をしたいですね。そのためにも挑戦し続けますし、僕の姿に共感してくれた人は、僕のようになろうと頑張ってくれる。実際に、上場した若手経営者には『近藤さんの言葉で起業しました』と言ってくれた人もいます。パッションリーダーズで業績を上げた人もいれば、親友ができた人もいる。そういったプラットフォームを提供できているのは、世の中、若者のためになっている部分はあると思います。そんなことをふと考えた時に『自分って格好いいかも』と気分がいいですね」

近年ではLED照明の普及や電子雑誌の発行、タレントの肖像を月額料金で使用できる「アクセルジャパン」など、数々の〝常識〞を覆して、新たなスタンダードを打ち出し続ける近藤代表。今後どのような未来を描いているのだろうか……

 

さらに詳しいインタビュー記事は、「起業家ファッション誌『BRIIN 2024』vo.2」をご購読ください!

(取材・執筆:水野友紀子、撮影:丸山 尚)

 

起業家ファッション誌『BRIIN』2024年号 -Amazon

起業家ファッション誌『BRIIN』2024年号 -Amazon

株式会社NEXYZ.Group
代表取締役社長兼グループ代表 近藤太香巳

こんどう・たかみ/19歳で起業。34歳でナスダック・ジャパンへ上場、37歳で2004年当時最年少創業社長として東証一部に上場。15年にはブランジスタがグループ2社目の上場を果たす。「初期投資ゼロ」の基盤となるエンベデッド・ファイナンス事業、メディア・プロモーション事業、企業応援プロジェクト「アクセルジャパン」などを展開。一般社団法人パッションリーダーズの創設者であり代表理事を務める。

公式サイト:https://www.nexyzgroup.jp/

こちらの記事もオススメ

関連記事