日本製ソフトウェアで世界への風穴を!グリーン&デジタルに愛をこめて|平野洋一郎社長(アステリア株式会社)

前世紀とは対極にある【グリーン】を中核に据えて

「20世紀を代表するのは何色でしょう?」

そう問いかけたのは、アステリア(株)の代表取締役社長兼CEOを務める平野洋一郎氏。コーポレートカラーのグリーンは、会社を創立した日から決めていた。

「まもなく21世紀となる1998年に設立したので、副社長兼CTOの北原淑行と21世紀を代表する会社にしたい。だから21世紀を代表する色をコーポレートカラーにしたいと考えました。ですが、まだ来ていない100年ですから、すぐには思いつかないですよね。そこで、30人くらいの方に20世紀を代表するイメージカラーを聞いてみました。既に100年近く経っている20世紀です。そうしたら、6割くらいの方が“赤”と答えたんです。一番多かった理由は血が流れ火を放つ『戦争』でした。次が経済面。トップ企業が赤ばかりだという理由です。共産主義が台頭したという政治的な要素をおっしゃる方もいました」

20世紀は、「規律・統制・階層」の時代でもあった。同社が掲げているのは、「自律・分散・協調」という在り方だ。

「目指している方向性が20世紀とちょうど対極。色相環図では補色というのですが、赤の対極に位置するのは緑なのです」

今でこそグリーンをコーポレートカラーにする企業は増えているが、当時は圧倒的に少数派で、批判の声もあったという。

「赤に次いで、インテリジェンスを示す青が人気。緑なんて企業として儲からなさそうだと言われました。ですが、私の予言が正しければ、2100年のトップ企業のカラーはグリーンだらけです。ある業界のトップ企業は赤、2位は緑ですが、その頃には逆転しているはずです(笑)」

社会的にエコが推奨されるようになり、周りからも「時代に合っている」と評価されるようになってきた。色へのこだわりは、ロータス(株)(現:日本IBM)での経験によるものだ。

「当時の本社のマーケティングのトップの方が徹底されていたのですが、色はとても印象が強く、かつ無料です。物には何かしらの色がありますよね。黒や白、赤だって色です。前職はイエローがコーポレートカラーだったので、意識的に使いましたし、イベントなどでは黄色でなければ許されませんでした(笑)」

ネクタイやシャツ、イベント時のTシャツ、パーカーで黄色を使ううちに、色というものの重要性が刷り込まれたのだという。

「多くの日本企業はいまだにマーケティングを疎かにしています。マーケティングというと、営業に付属している販促・広告部隊のようなイメージもあるのではないでしょうか。そうではなく、マーケティングは仕掛け作りです。目の前で製品が売れればいいのであれば、色は二の次になってしまいますが、3年、5年後まで考えて作戦を立てるなら、人の意識に長く浸透するブランディングが必要ですよね。信頼を得て次のステップへ進むうえで、色はより重要になるのです。

認知という点でも欠かせません。例えばSNSでアイコンが変わって、誰なのか一番分からなくなるのは、背景の色が変わった時。コーポレートカラーに限らず、小さなチームや個人でももっと重要視してほしいですね」

平野代表はSNSで何年にも渡って 「今日のグリーンです。Today’s green」と、緑色の写真を投稿しており、それを見た人は街中やデスク周りに緑色を見つける度に「あ、今日のグリーンだ!」と平野代表を連想してしまうという。「それも戦略的な刷り込みです」とにこやかに語る。

「ビジネスパートナーの方も緑の社長と認知してくださっていて、『靴まで緑なんですよ』と紹介してくださいます。数百人規模のパーティでも必ず見つけてもらえますね」

オフィス内のインテリア、パソコンやケーブルといった小物も緑色。もう1つ、四葉のクローバーもよく取り入れている。

「当社の企業理念の1つが“幸せの連鎖”です。そこから連想して四葉のクローバーのカフスを愛用しています。マーケティングに大事なのはストーリー。だからといって多用すると、こじつけになって物語が破綻し、効果が薄れてしまうので、少数のアイテムに絞り込むのが重要です」

平野代表の“アイコン”となっているペイズリー柄の緑のネクタイもお気に入りアイテム。訪米した際に、カラーバリエーションに富んだショップを教えてもらったという。今でも年に1本買い足しているが、最初に入手したペイズリー柄に愛着があるのだとか。

「このネクタイには青や赤が少し入りながらも全体的に見るとグリーン。多様性がある中でグリーンである点が気に入っています」

では、平野代表がビジネスパートナーに求めるファッションはあるのだろうか?………

 

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(取材・執筆:水野友紀子)

 

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アステリア株式会社
代表取締役社長/CEO 平野洋一郎

ひらの・よういちろう/熊本大学工学部の学生時代にソフトウェア開発ベンチャー設立に参画。1987 年~1998 年、ロータス株式会社(現:日本IBM)でのマーケティング関係の要職を歴任する。1998 年インフォテリア(現:アステリア)株式会社創業。2007年東証マザーズに上場。2018 年東証一部上場、2022 年~東証プライム。2023 年4月京都大学経営管理大学院特命教授に就任。公職として、ブロックチェーン推進協会代表理事、先端IT 活用推進コンソーシアム副会長、日本データマネジメント協会理事、MIJS 理事、熊本経済同友会常任理事などに就く。

公式サイト:https://jp.asteria.com/

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