『BRIIN』を創ったのは起業家のあるべきファッションを見出したかったから
アパレル業界からマーケターへ
本誌『BRIIN』発案者の(株)Black Trick副社長・黒田かなこさん。業界初の起業家×ファッションの雑誌創刊を決意したのは、ビジネス交流会やパーティの研究を経て、ファッションでの差別化が図れていない人が多いと感じたからだった。
「(株)Black Trickの副社長に就任後、ゼロ円から数万円まで、さまざまな交流会に赴き、研究を重ねてきました。会費によって集まる層や特徴なども異なるのですが、私が一番気になったのは参加者のファッションだったんです。
以前はアパレル業界で働いていたので、服装をきっかけに話しかけていただいたり、興味を持っていただいたりしました。なので、なぜ皆さん見た目でのブランディングを図らないのか、とても不思議に感じたのです。
ですが、答えは簡単でした。世の中に起業家のあるべきファッションの見本がないからです。そうすると何を着ていいのか迷ってしまいますよね。人と被りたくないけど、悪目立ちしないように気をつけたら、シンプル過ぎて埋もれてしまう。正解か分からず悩んだ経験がある人も多いのではないでしょうか?それを解決したいと考えました」
ファッションで良質なビジネスシーンを創出!
本誌創刊前から、黒田さんは周りの人へ交流会に参加する時の服装のアドバイスを行ってきた。
「どんな服を着るといいのかをお伝えしたところ、交流会で『そのジャケットの方、気になってたんですよ』と声をかけられ仕事に繋がった人がいます。服装がきっかけで発展していく事例は珍しくありません。ビジネスパーソン1人ひとりが、ファッションを含めたセルフブランディングの重要性を理解した上で実践していったら幸せが増えると思い、大規模なプロジェクトの1つとして、雑誌を創刊するに至りました」
まさに、アパレル業界で培った目線からの切り口といえるだろう。では、マーケターにキャリアチェンジしたきっかけはなんだったのか?
「マーケティングを知ったのは、スタイリスト時代に、弊社の相談役・黒田周兵と出会った時でした。
当時は、地下アイドルやボクサーの方の衣装、受注生産の洋服を作っていたのですが、収入は少なかったんですよ。なぜかというと、高単価の受注販売ができていなかったからです。
その悩みを黒田(周)に相談して実践していったところ、紅白歌合戦に出演しているアーティストの衣装を作ってほしいとご依頼いただいたんです。そこから高額な依頼を任せていただくようにもなり、収入面も良くなりました。
その時に、私みたいなクリエイター気質に足りないものは、マーケティングだったんだと実感しました。クリエイター気質の人って、良いものを作りたいという気持ちは強いのですが、それだけで食べていくのは難しいんですよ。金銭的に余裕がなくなると、満足のいくものも作れなくなってしまうのです。
マーケティングは、良いものを持っている人・作っている人の認知度を上げていくものだと分かってから、この世界にどんどんハマっていきました」
現在は、ブランディングからマーケティングまで網羅的に手掛けるコンサルタントとしても活躍している。
「社内の役割として、私は社外営業を担当しています。経営者様をはじめ、他社様やクライアント様とのやり取りやコンサルティングがメインですね。
ほかには、主催する交流会での現場フォローも行っています」
コンサルティングをするなかで、ブランディングは絶対に必要だと語る。
「ビジネスの概念に関して、製菓メーカーに例えると分かりやすいと思います。まずはお菓子を作って手売りするところから始まり、新たな見込み客を見つけてさらに売っていく。1つのビジネスの形ですよね。一方で、工場で材料を入れるだけでお菓子が作られ、運ばれて販売されていく。そういった自動化された仕組みもビジネスの在り方です。自分1人だけですべてやろうとしても、時間、体力、売上には限界があります。それを解消するには、相手から求められたり、興味を持ってもらったりするための要素が欠かせないのです」
(「起業家ファッション誌『BRIIN』2023秋冬号 創刊号」より一部抜粋)
くろだ・かなこ/服飾の専門家として27歳まで活動し、(株)BlackTrickの取締役副社長に就任。日本トップマーケターの黒田周兵に交流会特化型のマーケティングをプロデュースされる。半年後にはマーケティングスクール「ネクストマーケターズ」の月間売上は1,000万円を超える。